政府税制調査会の中期答申(2023年6月30日付け公表)

 2023年6月30日付けで政府税制調査会の答申が公表されました。
新聞報道では「中期答申」となっていますが、答申には「中期」の言葉はありません。

1.答申が掲載されているWEBサイト
 答申そのものは、内閣府の税制調査会のサイトのURLアドレスにアクセスすれば閲覧できます。
 1つのPDFファイルで答申全体を読む方法
 全体が長文だから、答申の章立てごとのPDFファイルを読む方法もあります。

 サイトのURLアドレスは以下のとおりです。
2023年6月30日の答申前は、(案)で議事録扱いで、総理への答申後は正式な答になりURLアドレスが変更されましたが、資料の内容は同じものです。

第27回 税制調査会(2023年6月30日)資料一覧
 内閣府のサイトのURLアドレス
 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/

【総27-1】わが国税制の現状と課題 -令和時代の構造変化と税制のあり方ー
https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai_toshin.pdf

 6月30日の総理への答申前の最終(案)と答申後の確定版の内容は同じですが、答申前のURLのファイル名は(gijiroku)でしたが、総理への答申(紙ベースの手交)後はファイル名が(shimon)に変更され、URLパス名も変更され掲載場所も変更されています。
 答申前の(案)では文書番号(令5.6.30 総27-1)がついていましたが、答申の公表後は文書番号が削除されています。

2.答申の各章ごとの分割ファイル版のURLアドレス
 章は算用数字で表記されていますが、資料PDFの中ではローマ数字表記です。

 (はじめに)
案  https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai_hajimeniset.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai_hajimeniset.pdf

第1部 基本的考え方と経済社会の構造変化
 (第1部1章) Ⅰ 租税の役割と基本的考え方
案  https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai1-1.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai1-1set.pdf

 (第1部2章) Ⅱ 税制制度の変遷と近年の税制改革の流れ
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai1-2.pdf 
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai1-2set.pdf

 (第1部3章) Ⅲ 経済社会の構造変化
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai1-3.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai1-3set.pdf

第2部 個別税目の現状と課題
 (第2部1章) Ⅰ 個人所得課税
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai2-1.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai2-1set.pdf

 (第2部2章) Ⅱ 資産課税等
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai2-2.pdf
答申https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai2-2set.pdf

 (第2部3章) Ⅲ 消費課税
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai2-3.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai2-3set.pdf

 (第2部4章) Ⅳ 法人課税
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai2-4.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai2-4set.pdf

 (第2部5章) Ⅴ 国際課税
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai2-5.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai2-5set.pdf

 (第2部6章) Ⅵ 納税環境の整備
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai2-6.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai2-6set.pdf

 (おわりに) ~税に対する理解を深めるため
案 https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2023/5zen27kai_owarini.pdf
答申 https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai_owariniset.pdf

3.答申の目次

4.答申についての感想

 第1部第1章で、アダムスミス、ワーグナー、マスグレブの租税原則論
が相変わらず引用されています。毎回のことですが、お題目として必要なのであろうか?
 
 個別税目の並び順に時代の変遷を感じます。
第2章が資産税、第3章が消費税で、法人税より上にきていることです。
昔は、所得税が1番、法人税が2番という順番でした。

 消費税の「益税」問題に対する言い方が変化してきているように思いますが、これはインボイス制度と関係しているのかも知れません。
 前段階からのコストに上乗せされた消費税相当額の転嫁は良いが、免税事業者が自ら創出した付加価値について消費税を上乗せすることは益税だと言い出しています。(答申159頁)

 そもそも経済取引においては消費税という税は認識せず、税を認識するのは、課税事業者が申告・納税するときである。消費税相当額という名の価格はあくまでも転嫁すべき価格の一部だから、課税事業者であれ免税事業者であれ、価格は自由に決めることができる筈です。

 消費税は経済に対して中立(預かり消費税相当額をそのまま納税すれば中立)だから、価格に上乗せされた消費税相当額を横取りすることは中立では無いという論理であろうか?
 これを言い出したら、政策的に採用した非課税医療費で消費税相当額の負担を強いられる医療事業などは損税になってしまう。
 昭和63年の消費税導入時の議論(税制改革基本法)は忘却の彼方なのか?

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