インボイス制度円滑実施推進に関する関係閣僚会議

1.閣僚会議の開催
 改正消費税法の施行(2023年10月1日)の直前9月29日(金)に「インボイス制度円滑実施推進に関する関係閣僚会議」が開催されました。

内閣府のサイトのアドレス
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202309/29invoice.html
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/Invoice_system/dai1/gijisidai.html

 新聞各紙でもこの会議開催を報道しています。

2.閣僚会議の位置付けは次のようなものになります。
 内閣のサイトで公表された参考資料1にわざわざ会議設置根拠が「閣議口頭了解」
と記されています。
 審議会や会議は行政組織の一形態ですから法令根拠がありますが、今回のフォロー
アップ会議はサイトの参考資料1のとおり設置根拠は「閣議口頭了解」だけで、他の法令には根拠が見あたらないので法令に基づく組織にも該当しないという位置付けかも知れませんが良く分からない組織です。
 
(1)会議の設置根拠法
 会議と名がつく組織で有名なところでは日本学術会議で、日本学術会議は日本学術
会議法(昭和23年法121号)にもとづき内閣総理大臣所管の下に設置された会議
で法律に基づく会議(組織)です。
 
 平成元年の消費税法制定時には、当時の政府税制調査会の中にフォローアップ委員
会が設けられましたが、今回は閣僚で構成するフォローアップ会議で内閣官房の中の
会議(組織)となっています。
 現在の政府税制調査会は内閣府の中の審議会組織(内閣府本府組織令31条、33条及
び税制調査会令)ですが、今回の会議は内閣官房に格上げして内閣が直接にフォロー
アップを統括する主体性を表す意図を示したのかも知れません。

 会議の設置目的はインボイス事務の関係省庁の「調整」ですから、こちらは内閣官
房の所掌である行政の総合調整事務(内閣法12条)に合致します。

 内閣法24条には、「この法律に定めるもののほか、内閣官房の所掌事務を遂行す
るため必要な内部組織については、政令で定める。」と規定されています。

 国家行政組織法8条では審議会等の設置については「法律又は政令に定めるところ
により」と規定されています。内部部局(同7条)については法律、政令や省令の定
めよることと規定されています。いずれの組織も法令に基づき設置されます。

 今回のフォローアップ会議は9月26日の官房長官の定例会見で始めて報道された
もので、それから3日後の29日に10月1日のインボイス施行直前にとにかく
第1回会議が29日に開催されました。

 手続き的にも間に合わず、会議開催は「閣議口頭了解」で済ませたという感じです。
もし、前から問題意識があったのなら、2023年10月1日のインボイス施行は4
年前から分かっていたのだから事前準備できていた筈です。
 どうにも短兵急の感じは否めません。

(2)会議の目的
 「インボイス制度開始後最初の確定申告時期までの間の施行状況をフォローアップ
し、運用上の課題などを把握・共有し、必要な対応策を講ずること」

 今回のフォローアップ会議は政府税制調査会のお株を取ったようなところがあるか
ら、フォローアップでインボイス制度の手直しの必要性が出てきたときは、改めて
政府税制調査会に諮問する手順を踏むことになるのでしょう。

(3)会議の開催期間
 会議の設置期間については期限の定めがないようですが、任務が「インボイス制度
開始後最初の確定申告時期までの間の施行状況をフォローアップ」ですから、202
3年10月1日から最長2024年11月(2024年9月決算月の確定申告)まで
が当面の会議目的期間ということになるのでしょう。

 大きな山は、暦年課税である個人所得税の2024年3月春の確定申告、2024
年3月決算法人の5月末の確定申告ではないでしょうか。ここでインボイスが消費税
申告にどのような影響を与えたかを確認するのでしょう。

 今回のフォローアップ会議が2024年1月1日からの電帳法の完全施行が念頭に
あれば、インボイスの電子保存の施行状況まで織り込むと思うのですが、電帳法は
別途のフォローアップということなるのでしょう。
 
(4)会議の(構成員)
 議長:内閣官房長官
 副議長:財務大臣、経済産業大臣
 構成員
  内閣府特命担当大臣(金融)
  国家公安委員会委員長
  デジタル大臣
  総務大臣
  法務大臣
  文部科学大臣
  厚生労働大臣
  農林水産大臣
  国土交通大臣

 関係閣僚会議幹事会(議長の指定する官職にある者)

 庶務
  内閣官房

 内閣官房の事務方が消費税法やインボイスについて詳しい訳はないから、事務方の
実質は財務省主税局税制2課が駆り出されるのだろうと思います。

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