譲渡の時期

法2条1項八~九号、法4条、法28条

(1)(平7.1.27裁決)国税裁決事例集 No.49 平成7年分・第1
 本件不動産の譲渡の時期については、請求人は、その経理処理上、本件不動産の譲渡収入を売買契約の効力の発生した日の属する平成元年3月期ではなく、平成2年3月期の収益に計上しているから、契約の効力発生の日を譲渡の時期とすることはできず、原則としての取扱いにより、引渡しがあった平成元年7月17日が譲渡の時期となる。

津地裁(平8.10.17判決)平成7年(行う)第5号
 請求人は、上記国税不服審判の裁決を不服とし、津地裁に出訴したが、判決は、引渡しを平成元年7月17日とし、その日を譲渡の時期とした。
 請求人敗訴。
  税務弘報 Vol.45 No.5 1997年4月号95頁

名古屋高裁(平9.4.9判決)平成8年(行こ)第29号
 本件売買契約の合意内容及び契約締結後の処理状況によれば、契約日である平成元年3月29日をもって本件土地建物の譲渡があったものとは認められず、その所有権は同年7年17日ころに移転したものであると認めるのが相当である。
  税理平成10年7月号付録 租税判例の回顧

最高裁(平9.10.17判決)平9(行つ)第148号
 所有権は、7年17日ころに移転したものであると認められる。
  税理平10年12月号租税判例の回顧

(2)水戸地裁(平8.2.28判決)平5年(行う)20 号
 課税期間の最終日に未だ引渡しを受けていなかったため仕入税額控除が否認された事件(請負工事)
  訴月43巻5号1376、税資215号74頁

(3)(平11.9.16裁決)国税裁決事例集No.58 平成12年分上期
 建物建築契約にあっては目的物たる建物の引渡日と、また、建物建設に関するこんさるたんと契約にあっては役務の全部の提供を受けるのが完了した日と解するのが相当。

(4)(平12.12.14裁決)国税裁決事例集No.60
 営業権の引渡しの日は、酒類の販売が可能となった酒類販売業免許の日とするのが相当とした。

(5)(平19.2.8裁決)国税裁決事例集No.73 平成19年分・第1
 建物等の譲渡に当たって当事者間で引渡しの日を定めていたとしても、当該建物等の売買契約を締結した日に代金決済及び所有権移転登記等が完了しているのであれば、当該売買契約を締結した日が当該建物の譲渡の時期である。

(6)東京地裁令和2年12月22日判決(平成31年(行ウ)150号)確定
 本件協定に基づいて原告が提供する役務は継続的なものであることから,本件協定では,役務提供に係る期間を1か月ごとに区切り,当該期間ごとに販売手数料を支払うこととされている。そして,本件協定に係る協定書には販売手数料について「毎月末締,翌月15日払い」との記載があることに照らすと,各月の1日から末日までに提供した役務に対し,その対価として販売手数料の支払を受ける権利が発生すると解するのが,本件協定の合理的意思解釈として相当である。
 実際には,A社の従業員等がA社の設置する全ての自動販売機について毎月末日に売上高を確認することは困難であることから,前月の最終の売上高確認日(本件販売手数料にあっては本件自動販売機の設置日)から当月の最終の売上高確認日までの売上金額に基づいて販売手数料が計算されているが,これは,販売手数料の計算のための便宜によるものと解することができ,各月の1日から末日までに提供した役務に対して販売手数料の支払いを受ける権利が発生することには変わりがない。
 A社の販売員は、平成26年12月23日に本件自動販売機の設置場所を訪問して売上高の確認をしているが,この時点では,原告の同月分の役務提供は途中の段階であっていまだ終了しておらず,同日の売上高確認が同月の最終のものであることもいまだ確定していなかったといわざるを得ないから,同月分の販売手数料に係る権利が確定していたということはできない。
 以上によれば,本件販売手数料について権利が確定するのは平成26年12月31日が経過した時点であり,本件課税期間において権利が確定したものではないから,本件販売手数料は本件課税期間にかかる課税資産の譲渡等の価には当たらない。
 そして,そのほかに本件課税期間に係る課税資産の譲渡等の対価があるとはうかがわれないから,本件課税期間に係る課税資産の譲渡等の対価の額は0円であり,控除対象仕入税額も0円である。
  租税判例の回顧令和2年下半期 月刊税理令和4年1月号附録

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