輸出免税関係

(1)(平7.7.3裁決))週刊税務通信No.2445 平8.9.30
 第三者を介して外国法人に商品を輸出し代金を受領している取引であっても、輸出証明書の交付がなければ輸出免税の適用を受けることができない。

(2)(平10.6.30裁決)国税裁決事例集No.55 平成10年分・第1
 当該貨物は米軍人等の引越し貨物であり、米軍の用に供する貨物で無い。
 請求人は、米国の運送業者(キャリアー)との間のキャリアー取引に基き、米国キャリアーに対して、梱包、運送、保管、通関手続、船積の一環作業の役務提供をするが、一環作業はすべて日本国内においておこなわれるため、国際輸送に該当しない。

参考:取引の図解

 米軍人個人 →(国際運送委託)→ 米国キャリアー
                (日本支社の無い米法人)
                    ↓
                  (下請契約)
                    ↓
                  日本の運送人

(3)(平13.2.8裁決)国税裁決事例集No.61
 在日米軍基地内にある取引先との取引が、日米地位協定の所得税等特例法に規定する免税取引に該当しないとした。

(4)(平13.12.21裁決)国税裁決事例集No.62
 外国法人から日本における独占販売権を取得した取引は国外取引であり、その対価の支払いは課税仕入れに該当しないとした。

(5)(平15.2.20裁決)国税裁決事例集No.65
 輸出証明書はあるものの、請求人が輸出したのはダミーであり、実物は輸出されずに国内において引渡しが行われていたことから輸出免税は適用できない。

(6)(平15.1.28裁決)国税裁決事例集No.65
 非居住者である外国法人の従業員を対象に国内で行う現場改善等のセミナーは、消費税法施行令第17条第2項第7号ハに規定する国内における飲食又は宿泊に準ずるもので、国内において直接便益を享受するものに該当することから、輸出免税等には当たらない。

(7)前橋地裁(平17.9.30判決)平17年(行ウ)5号
 本件機械の売却が消費税法7条①項1号に該当するものであることにつき、税関長証明書類を保存することにより証明がされたものでない場合には、消費税法7条①項所定の輸出免税規定は適用されないところ、納税者は本件機械の売却について税関長証明書類を保存していないから、本件機械の売却について、消費税法7条①項の輸出免税規定は適用されないというべきである。

(8)東京地裁(平18.11.09判決)平16年(行ウ)392号
 認定事実によれば、売買代金は売買契約時にすでに支払が済んでおり、これによって売買の目的物である中古自動車が自己の支配下に入ったと考えるのが買主としての通常の認識であろうと考えられることからからすると、観念的には売買代金の支払時に引渡しが行われており、その後の通関や車両の搬入は、本来買主が行うべきことを原告が代理又は代行したものと解する余地が十分あるものということができる。
 結局、本件取引の当事者が、目的物の引渡しに関し、具体的にどのような取決めをしていたかという事実認定ないし意思解釈の問題に帰着するところ、買主であるロシア人が当該中古自動車を自己の占有する携帯品又は別送品として輸出することを前提とする旅具通関扱いによって、輸出許可の手続が行われていたことが明らかである。
 
(9)東京地裁(平15.1.28判決)平13年(特わ)4477号
  輸出物品販売所において、課税売上に該当するゴルフ用品等を販売したにもかかわらず、外国人旅行者への免税売上であるかのように仮装した。
 消費税法8条①項は、輸出物品販売場において非居住者に対して政令で定める物品で輸出のため所定の方法で購入しようとするものを譲渡する場合、免税店を経営する事業者に対し消費税を免除する旨を定め、同法施行令18条①項は、記物品を、「通常生活の用に供する品」と規定している。この「通常生活の用に供する物品」とは、当該非居住者が通常の生活において用いようとする物品を指すのであって、その者が国外における事業用又は販売用として購入することが明らかな物品は含まれないと解するのが、いわゆる輸出免税等(同法7条)のほかに免税店制度を設けた趣旨に照らして相当である。
 本件の不正な免税売上は、いずれも韓国人バイヤーを取引相手とするもので、同人らは、韓国に密輸して販売する目的で、被告会社の各免税店において、一取引当たり数千万から一億円に上る代金を支払って多数の被告会社製のゴルフクラブ等を継続的に購入していたことが認められるから、これが「通常生活の用に供する物品」の購入に該当するものとは到底いえず、韓国人バイヤーとの上記取引が免税販売の対象にならないことは明らかである。

(10)新潟地裁(平19.11.29判決)平18年(特ウ)13号
 消費税法7条1項1号の文言上、免税対象となる輸出取引とは、資産又は貸付が本邦からの輸出として行われる場合をいうのであって、先に資産の譲渡又は貸付が行われ、その後当該資産が本邦から輸出された場合がこれに当たらないことは明らかであり、本件取引は、消費税法7条1項1号の定める輸出取引には該当しない。 また、消費税法7条2項は、同条1項1号により輸出取引として輸出免税を受けるためには、税関長証明書類には消費税法施行規則5条1項1号イないし二に定められた事項が記載されていることを要する旨定められているところ、納税者が本件各取引について保存している書面のうち貨物の輸出申告書は、輸出許可を受けた申告者が納税者以外のものであることがその記載自体から明らかであり、納税者に対する税関長の輸出許可証と認めることはできない。
  月刊「税理」平成20年12月号付録・租税判例の回顧平成19年下半期
 
(11)大阪地裁 平成21年12月3日判決(平20(行ウ)141号)控訴
 認定事実によれば,ロシア人人船員らに対する中古車両の引渡しは,代金の支払時に,日本国内にあるXの中古自動車の販売スペースにおいて完了していたとみるベ きであるから,本件各取引においては,日本国内において資産の譲渡が行われたもので,その後,当該資産が本邦から輸出されたものというべきであるから,法7条1項1号に定める「本邦からの輸出として行われる資産の譲渡」には当たらない。
 ②について,法7条2項,同法施行規則5条1項1号の規定によれば,事業者が税関長証明書類を所定の期間・場所で保存していない場合には,そもそも輸出免税措置の適用は認められないところ,本件各取引においては,中古車両を購入したロシア人船員らが自らの名義で旅具通関手続を行った上, 「輸出?輸入託送品(携帯品?別送品)申告書」の交付を受ける一方,Xは税関長証明書類の交付を受けずその保存もしていなかったというのであるから,法7条2項の定める手続的要件を欠くことは明らかである
  月刊「税理」平成22年12月号付録・租税判例の回顧平成22年下半期 

 大阪高裁 平成22年6月16日判決(平22(行コ)4号)
  控訴棄却(確定)
  月刊「税理」平成23年7月号付録・租税判例の回顧平成22年上半期 

(12)東京地裁 平成23年3月10日判決(平22(行ウ)180号)
 本件各取引においては, 原告とロシア人船員との間で,目的物となる中古車両の特定及び売買価格の合意により,売買契約が締結され,ロシア人船員が,現金で代金を支払ぅ旨を原告と合意した上で,当該中古車両のフロントガラスに自分の名前をサインしたことにより売買契約に基づく当該中古車両の引渡し(原告からロシア人船員への占有の移転)が完了し,その後,ロシア人船員が,原告の助力の下, 当該中古車両を携帯品又は別送品として輸出するために関税法67条所定の申告をして,輸 出の許可を受けたものと評価するのが相当である。
 すなわち,本件各取引においては,売買契約の締結及び目的物である本件各中古車両の引渡しが共に完了した後に,関税法67条所定の輸出の許可がされているものというベきであるから,本件各中古車両の譲渡の時期を売買契約の締結又は目的物の引渡しのいずれの時点と解しても,本件各取引は,外国貨物(輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物 〔外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。〕で輸入が許可される前のもの。消費税法2条1項10号,関税法2条1項3号)の譲渡には該当しないものというべきである。
 月刊「税理」平成24年7月号付録・租税判例の回顧平成23年上半期

(13)名古屋地裁 平成23年7月21日判決(平21(行ウ)33号、平22(行ウ)49号) 控訴
 原告が行う役務の内容は,混載業者が集貨した混載貨物の積載スペースの手配にすぎないと認められるから,そのような役務の提供をもって消費税法7条1項3号所定の「貨物の輸送」に該当すると認めることはできない。
原告は,そもそも通関業者でないことはもとより,指定保税地域等までの運送や指定保税地域等での作業を行うものではなく、本件各国内支店から委託を受けた航空貨物の仲介又は取次ぎ業務を行っていたにすぎないから、原告の行った業務が外国貨物の荷役、運送、保管、検数、鑑定のいずれにも該当しないことに加え,当該外国貨物の荷役等に類する外国貨物に関わる役務の提供にも該当しないことは明らかであり,原告が主張する航空貨物の取次ぎに係る取引をもって,消費税法7条1項5号,同法施行令17条2項4号所定の「外国貨物に係る役務の提供」に当たると認めることはできない。
 以上のとおり,原告が行う本件取引は,いずれも消費税法7条1項所定の輸出免税取弓に該当するものとは認められない。
 月刊「税理」平成24年12月号付録・租税判例の回顧平成23年下半期 

(14)山口地裁平成25年4月10日判決(平22(行ウ)5号)控訴
 消費税法8条1項は,輸出物品販売場において,非居住者に対し政令で定める物品で輸出するため所定の方法で購入されるものを譲渡する場合,事業者に対し消費税を免除する旨定め,これを受けて定められた消費税法施行令18条1項は,上記物品を,「通常生活の用に供する品」と規定するところ,「通常生活の用に供する物品」とは,当該非居住者が通常の生活において用いる物品を指すのであって,その者が国外における事業用又は販売用として購入することが明らかな物品は含まれないと解される。本件家電製品の販売状況(販売回数,販売数量及び販売金額)からすると,購入者らは,本件家電製品を通常の生活において用いようとする物品として購入しようとしたのではなく,事業用又は販売用に購入したことが明らかであるというべきであるから,消費税法8条による免税は認められない。
 本件においては,原告は,本件家電製品のうち,どの取引が消費税法7条の適用を受けるかを特定せず,上記書類等に該当する書類を提出しないなど,本件家電製品販売が消費税法7条の適用を受けることについて具体的な主張立証をしないから,本件家電製品が消費税法7条1項の適用を受けるとは認められない。
 月刊「税理」平成26年7月号付録・租税判例の回顧平成25年上半期 

  広島高裁平成25年10月17日判決(平25(行コ)13号)上告
 争点は、本件における家電製品の販売(以下「本件家電製品販売」という。)に
係る消費税につき,消費税法8条による免税が認められるか(争点1)②本件家電製品販売に係る消費税につき,消費税法7条による免税が認められるか(争点2)にあった。
 本判決は,納税者の請求を棄却した原審の判断を維持し,納税者の控訴を棄却した。
 月刊「税理」平成26年12月号付録・租税判例の回顧平成25年下半期 

 最高裁平成27年3月3日判決(平成26(行ツ)58号,平26(行ヒ)67号)
  上告申立て不受理
 月刊「税理」平成28年7月号付録・租税判例の回顧平成27年上半期 

(15)東京地裁平成25年7月10日判決(平24(行ウ)687号)
 原告が消費税法7条2項により要件とされる消費税法施行規則5条1項1号の税関長証明書類等に該当すると主張する船内販売品目録は,関税法の規定による輸出許可書として取り扱われるべく作成されたものではない上,外国船舶の乗組員に対する土産品等の販売がその品名,数量及び価額において関税法その他の法令等の定めに適合するものであるかどうかを確認するため便宜上提出を求めているものであるから,消費税法施行規則5条1項1号の関税長証明書類等に当たらない。また,同目録には,少なくとも当該資産の仕向地の記載は見当たらないから,同目録に消費税法施行規則5条1項1号二の記載がされているとは認められない。
 よって,原告による本件土産品等の販売については,消費税法7条1項1号の規定の適用がある資産の譲渡に該当するとは認められない。
 月刊「税理」平成26年12月号付録・租税判例の回顧平成25年下半期 

 東京高裁平成25年11月21日判決(平25(行コ)289号)控訴
 月刊「税理」平成26年12月号付録・租税判例の回顧平成25年下半期 
  
 最高裁平成26年4月25日決定(平26(行ツ)73号、平26(行ヒ)81号)確定
 上告申立て不受理
 月刊「税理」平成27年7月号付録・租税判例の回顧平成26年上半期
 
(16)東京地裁平成27年3月26日判決(平23(行ウ)718号)
 本件取引は,原告がA社(訪日旅行ツアーを主催する外国会社)に対し役務を提供するものであるから,消費税法7条1項1号又は消費税法施行令17条2項6号の「資産の譲渡又は貸付け」に当たらず,輸出免税取引に該当しない。
 また、消費税法施行令17条2項7号ハは、非居住者に対して行われる役務の提供であっても、国内に所在する資産に係る運送又は保管及び国内における飲食又は宿泊に準ずるもので、国内において直接便益を享受するものを輸出免税取引から除外しているところ,これらを除外しているのは,これが国境をまたがない,正に国内において消費されるサービスであり,輸出と捉え得るものではない点にあることなどに鑑みると, 同号ハの範囲を殊更限定的に解釈するのは相当ではなく,国内に所在する資産に係る運送又は保管及び国内における飲食又は宿泊に類するものであり,かつ,国内において消費されるサーピスについて,広く同号ハに該当するというべきである。
 原告が提供する本件役務は,国内に所在する資産に係る運送又は保管及び国内における飲食又は宿泊に類するものであり,かつ,国内において消費されるサービスであるということができるから,同号ハに該当し,輸出免税取引に該当しない。 
 月刊「税理」平成28年7月号付録・租税判例の回顧平成27年上半期 

 東京高裁平成28年2月9日判決(平27(行コ)156号)
  納税者の控訴棄却
 月刊「税理」平成29年7月号付録・租税判例の回顧平成28年上半期 

 最高裁平成29年2月3日判決(平28(行ヒ)197号)
  上告不受理
 月刊「税理」平成30年7月号付録・租税判例の回顧平成29年上半期 

(17)東京地裁平成28年2月24日判決(平26(行ウ)250号)確定
 原告は,本件取引において,本件海外旅行者に対し,各種サービス提供機関をして,旅行者に対して国内における飲食,宿泊,運送,観光,案内等の各種サービスを提供させるという役務を提供していたものであるから,本件取引は,非居住者である本件海外旅行会社に対して行われる役務の提供というべきものではあるが,本件取引において提供される役務のうち,レストランでの飲食やホテルでの宿泊等に関する部分は,国内における飲食又は宿泊に該当するということができるから,消費税法施行令17条2項7号ロに該当し,その余は,国内における飲食又は宿泊に類するものであって,かつ,国内において直接消費されて完結するものに該当するということができるから,同号ハに該当するというべきである。
 したがって,本件取引は,消費税法施行令17条2項7号に該当しないことから,輸出免税取引に該当しない。
 月刊「税理」平成29年7月号付録・租税判例の回顧平成28年上半期 

(18)大阪地裁令和元年5月24日判決(平成28年(行ウ)2号)
 本邦港湾に停泊中の外国船舶内での外国船舶船員に対する土産販売・国際郵便を利用しての販売に係る輸出免税の事例
 法2条1項1号は,「国内」とは法の施行地をいう旨規定するところ、国の制定する租税法の施行地,すなわち,その効力の及ぶ場所的範囲は,特段の定めのない限り,我が国の主権の及ぶ地域たる,我か国の領土,領海及び領空(本邦)の全域にわたるのであって,本邦内の特定の場所につき租税法の効力が及ばないためには,条約(我が国が批准したものに限る。以下同じ。),法令(我が国が制定したものに限る。以下同 じ。)等においてその旨が明文で規定される必要があるものと解される(外交関係に関するウィーン条約23条,国際連合の特権及び免除に関する条約2条7項,地方税法348条9項等参照)。そして,原告が資産の譲渡たる本件船内販売等を行った時点においては,資産の譲渡の対象たる土産品等及び船用物品は,本邦内の港湾に停泊中の外国船舶内に所在していたと認められるところ,本邦内の港湾に停泊中の外国船舶内につき法を含む租税法の効力の及ぶ場所的範囲から除外する旨を明文で規定した条約,法令等は見当たらないから,本件船内販売等は,法2条1項にいう「国内」において行われたものに該当するというべきである。
 土産品目録等に記載された土産品等の外国船舶内への持込みを事実上承諾する旨の受理印(確認印)での割り印も税関長名義ではなく税関名義で行われることを併せ考えると,土産品目録等が土産品等の輸出の事実を税関長が証明する趣旨のものでないことは明らかである。したがって,土産品目録等は,輸出証明書に該当しない。また,土産品目録等には,少なくとも,当該土産品等の仕向地(消費税法施行規則(平 成27年財務省令第27号による改正前のもの。以下「規則」という。) 5条1項1号二)が記載されていないから,本件船内販売は,規則5条1項1号所定の輸出証明書の保存がされていないため,法7条2項所定の証明がされたものに該当するということができない。
 原告が,本件積込承認申告書につき,その事務所等に前記各日から7年の間,間断なく保存したと認めることはできない。したがって,本件積込承認申告書については,7年間保存要件を満たしていないのであって,本件事前注文販売は,規則5条1項1号所定の積込承認証書の保存がされていないため,法7条2項所定の証明がされたものに該当するということができない。
 原告の平成23年及び24年の総勘定元帳には規則5条1項2号所定の事項の記載がさ れていない。
 本件EMS(国際スピード郵便)等による販売は、規則5条1項2号所定の2号帳簿が保存されていないため、消費税法7条2項所定の証明がされたものに該当するということはできない。
 月刊「税理」令和2年7月号付録・租税判例の回顧平成31年・令和元年上半期 

 大阪高裁令和元年11月29日判決(平成元年(行コ)1103号)上告
  請求棄却
 月刊「税理」令和3年1月号付録・租税判例の回顧 令和元年下半期 

(19)東京地裁 令和2年6月19日判決(平成30年(行ウ)321号)控訴
 消費税法8条6項に基づく許可を受けた輸出物品販売場を経営する原告が非居住者に金工芸品の譲渡を行ったが、施行令18条2項に定める免税販売手続きにおいて韓国と香港の旅行会社の従業員による名義貸しにより実際の購入者でない者への譲渡が行われていたので消費税法8条1項の非居住者に対する譲渡ということはできない。
  参考:外国人旅行者による金工芸品の購入記録票は架空のもので金工芸品の購入は循環取引と認められている。
  月刊「税理」令和3年10月号付録・租税判例の回顧令和2年上半期 
  ジュリスト2022年9月号 租税判例研究 PP155~158
 
 東京高裁 令和3年9月2日判決(令和2年(行コ)146号)上告
 月刊「税理」令和5年1月号付録・租税判例の回顧令和3年下半期  
 
(20)東京地裁 令和3年10月19日判決(令和元年(行ウ)315号)確定
 本件各商品の買付けは、本件各台湾事業者が自らの意思で購入する商品やその数量を決定し、代金も基本的に自己資金で支払っていたものであり、原告が本件各商品の買付け自体に関与していたことをうかがわせる事情は認められない。
 原告と台湾業者との間の基本契約の内容は、商品の購入に関するものではなく、集荷・配送、税還付申告を含む輸出業務に関するものであった。 
 原告は、本件各台湾業者が購入した本件各商品について、輸出代行業務や消費税等の還付の手続の代行等の業務を行い、その手数料として消費税等の還付金等の還付金の一部を収受していたものと認めるのが相当である。
 本件各課税仕入れの主体が原告であると認めることはできず、本件課税仕入金額は、原告の「課税仕入れに係る支払対価の額」(消費税法30条1項)に当たらない。
 月刊「税理」令和5年1月号付録・租税判例の回顧令和3年下半期 
 
(21)東京地裁 令和4年1月21日判決 (令和2年(行ウ)198号)控訴
 消費税法8条6項の許可を受けた輸出物品販売所を営む原告が時計の販売において、非居住者からの旅券の写しの提出を受けておらず、消費税法8条1項所定の譲渡に該当しないことから消費税を免除することができず、また、消費税法30条7項所定の帳簿の保存がされていないことから同条1項所定の仕入税額控除ができないことから、消費税等の更正処分、並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分を受けた
 原告は、買取申込者からの時計の買取を行っているが一部の買取については、時計の売却の事実がなく、一部は訪日団体観光客からの買取であったが、かかる買取の事実を認める証拠がないため、本件各仕入れに関して消費税法30条1項所定の仕入税額控除を認めることはできない。
 月刊「税理」令和5年7月号付録・租税判例の回顧令和4年上半期 

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