消費税法の合憲性

(1)東京地裁(平2.3.26判決)平成元(行ワ)5194号
消費税法の益税を理由にその違憲性を主張した消費者が国を被告に損害賠償を求めたが、消費者の負担する消費税は対価にすぎないので、課税処分と同様の不服申立てを消費者に保障する必要はない。
別冊ジュリスト租税判例百選(第3版)126頁 判例時報No.1344 判例タイムズNo.722

(2)大阪地裁(平2.11.26判決)平成元(ワ)5180号
国会議員が憲法に違反する消費税法を成立させた立法行為が違法であるとして提起された国家賠償請求が、棄却された。
判例時報No.1424

(3)岡山地裁(平2.12.4判決)平成元(行ウ)13号
広島高裁(平3.12.5判決)平成2(行コ)4号
最高裁(平5.9.10判決)平成4(行ツ)46号
古い建物の取得価格が不明な場合は、公的資料からの推計をすることも認められています。
消費税法5条1項、税制改革法11条1項の規定によれば、消費税は、課税資産の譲渡等を行う事業者を納税義務者として課される間接税であり、事業者は、消費者が支払う消費税相当額の金員を、売買等の契約という法律上の原因に基づいて取得するものであるから、納税者と国との間で、納税者が売買契約の相手方である事業者に支払った消費税相当額の金員につき不当利得関係を生ずるものではない。
岡山地判税務訴訟資料 181号 判例時報No.1424
広島高判税務訴訟資料 187号
最判税務訴訟資料 198号

(4)東京地裁(平3.9.30判決)平成元(ワ)10234号
建物の貸付けと土地の貸付けとで課税、非課税の取扱いを区別している消費税の規定は、憲法14条に違反しない。
判例時報No.1411 判例タイムズNo.774

(5)東京地裁(平4.3.24判決)平成元(行ウ)144号
東京高裁(平6.4.18判決)平成4(行コ)46号
公正取引委員会が、消費税導入後の書籍の再販売価格は消費税込みの価格であるとする公表文は、違法なものではない。
書店が消費者に販売した書籍の価格の中には実質的、経済的にみると消費税相当分が含まれている。

(6)大阪地裁(平4.6.4判決)平成4(ワ)1970号
大阪高裁(平4.11.26判決)平成4(ネ)1448号
消費税の対象を「事業者が事業として」行う取引に限ることには、立法政策に基づく合理的な理由があるから、憲法14条に違反しない。
中古資産に対しすでに物品税が課されていたとしても、右資産につき、その後に「資産の譲渡」がなされた以上、消費税が賦課されるのは当然のことであり、これをもって二重課税ないし租税法律主義に違反するということはできない。
大阪地判税務訴訟資料193号533頁

(7)仙台地裁平成31年3月14日判決(平成28年(行ウ)28号)
 消費税法30条2項が憲法14条1項および84条に違反するか。
 税法の定立については,国家財政,社会経済,国民所得,国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的,技術的な判断に委ねるほかはなく,裁判所は,基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ないから,租税法の分野における取扱いの区別は,その立法目的が正当なものであり,かつ,当該立法において具体的に採用された区別の態様が目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り,憲法14条1項に違反するものということはできないと解される(最高裁昭和60年3月27日大法廷判決参照)。
 憲法84条は,あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とすると定めているところ,消費税法30条2項は,それ自体あらたに租税を課す規定ではない上,非課税取引について,事業者が販売する商品やサービスの対価に控除対象仕入税額を織り込んだ場合があったとしても,消費者が支払う金銭は飽くまで商品やサービスの対価としての性質を有するものであって,消費者は税そのものを恣意的に徴収されるわけではない。したがって,同法30条2項は,課税の明確性,透明性を欠いているとはいえず,憲法84条に違反するとはいえない。
  租税判例の回顧平成31年・令和元年上半期 月刊税理令和2年7月号附録

仙台高裁令和元年9月11日判決(平成31年(行コ)8号)上告
 納税者請求一部却下、その余は請求棄却
  租税判例の回顧令和元年下半期 月刊税理令和3年1月号附録

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