EDI取引について

1.EDIデータと改正消費税法の関係
国税庁が公表している改正消費税法に係る電子インボイスQ&A問28,問59及び問72に「EDI取引」という用語が出てきます。
EDIとは(Electronic Data Interchange)の略です。これは売買の商取引に係るデータ交換を電子共通書式に従って通信回線(インターネット)を利用してデータ交換を行う仕組みです。

Q&Aでは、受注・発注などを紙ベースで行わず、EDIデータ交換で行っている場合に、そのデータがそのまま改正消費税法の適格請求書として使えるのかという想定質問が掲載されています。
回答は、EDIデータが改正消費税法の法定要件(記録としての記載6項目要件およびその保存要件)を充足しているなら、適格請求書に代えることができるとの回答です。

EDIはデータ交換を行う当事者間のデータの標準・共通化に過ぎません。標準化は系列取引先ごとに発注・受注の書式の共通化をしたり、同一業界の中での標準・共通書式化が進められてきました。業界にはそれぞれの特異性があるので、異なる業界間を通じたレイアウトや取引コードを共通標準化することは極めて困難な状況にあります。
業界内部で標準化したEDIデータ書式は、改正消費税法57条ノ4第1項各号の法定6項目が何処かに入力記録されていれば、改正消費税法の適格請求書に代えることが可能となります。
ただし、各業界のEDIデータを電磁的記録として法定保存する場合には、改正消費税法が電子帳簿保存法を引用しているため、電子帳簿保存法に従って、売り主は売り主としての保存要件(提供した適格請求書の控え保存義務)を充足し、買い主は買い主としての保存要件(仕入税額控除のための適格請求書の保存義務)の充足を図る必要があります。
だから、業界EDIデータをそのまま保存していれば良いという訳ではなく、一定の法定要件の充足が必要になるということです。

2.EDIデータの会計取り込み実証実験
2018年2月13日~28日に東京都町田市において、経済産業省等が「IoTを活用した新産業モデル創出基板整備事業」の一環電子レシートを活用した実証実験が行われました。その結果の報告書「電子レシート実証実験の結果概要」が平成30年6月に公表されています。

電子レシート実証実験の結果

当時、東京税理士会の情報システム部では、実証実験に参加した会社や会計ソフト会社の協力を得て町田の電子レシートデータを入手してCSV、XMLなどの形式に変換して、会計ソフトの仕訳に取り込む実証実験を行っています。
(東京税理士界2019年4月号、8月号、10月号)

3.open-PeppolのXMLデータ
2003年10月の改正消費税法の施行に向けて、デジタル庁が導入準備しているopen-Peppolの電子インボイスは、業界間のEDIの共通化を図るものではなく、改正消費税法の適格請求書の電磁的記録提供をPeppol標準書式に載せてPeppol形式で送受信するというものです。
デジタル庁はPeppolの利点の一つとして、バックオフィスの活用という表現を使っています。これは、売り主がPeppolを利用した請求書を提供して、当該XMLデータが売掛金の入金回収時に消し込みにも使えるので業務の効率化を図ることができると宣伝されているものです。
PeppolのXMLデータと全国銀行協会の標準書式全銀行XMLデータの連携を図るものです。次のような図式です。

EDIと電子インボイスの関係
仕組は、PeppolXMLデータelementの中に、売り手の個別請求書番号(ID)を入れて買手に渡しておきます。買い手側は振り込み時に売り手側から当初受信した売掛金に係る(ID)情報を付加して振り込むという紐付け作業をしなければなりません。お金には色が無いから、送金データに当初IDが無いと何の資金が振り込まれたのか売掛金を回収した売り手は判断がつきません。バックオフィッスの効率化には手間がかかるのです。
これが月締めや半金半手(手形)になると処理が複雑になります。

デジタル庁が促進するPeppolの実証実験は、NTTデータ四国が2021年夏に入金消し込みの実証実験に参加しています。(週間税務通信2021.7.26号)
なお、NTTデータは、2020年10月~12月に各国税局・税務署から金融機関への預貯金取引データの照会実証実験(東京、仙台、神奈川)に参加し、2021年10月からこの実証実験を全国展開しています。

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