フリーランス消費税軽減、売上税の2割特例

 適格請求書(いわゆるインボイス)が2023年10月から導入されますが、適格請求書発行事業者登録申請がなかなか進んでいないのが実情です。
 そこで令和5年度税制改正において、新たな簡易課税制度の検討が進んでいるような報道が日経新聞の報道(2022.11.20)にありました。


 
 消費税法の適格請求書(いわゆるインボイス)を発行するためには適格発行事業者登録をする必要があります。
 免税事業者(前々基準年度1千万以下の事業者)の場合は、これまで消費税を納めていませんが、免税事業者がインボイス発行事業者になると課税事業者になり、消費税の申告納税で負担が発生します。
 もしインボイス発行事業者にならない場合は、2023年10月以降は、これまでの取引から排除されたり、取引先からの値引き要請が起きる恐れがあります。

 免税事業者がインボイス発行事業者になった場合は、課税売上高5千万以下だから簡易課税の選択ができます。簡易課税の場合は実際の仕入に関わらず(みなし仕入率)で消費税の納税額を計算することになります。
 簡易課税制度は6業種区分で構成されており、該当する業種で申告納税します。
  第1種:卸 (みなし仕入率90%)
  第2種:小売(みなし仕入率80%)
  第3種:製造(みなし仕入率70%)
  第4種:第1、2、3、5、6種に属さないもの(みなし仕入率50%)
  第5種:運輸、金融、サービス(みなし仕入率60%)
  第6種:不動産(みなし仕入率40%)
  
 新聞記事のフリーランスは、おそらく第5種サービス業が多いのだろうと思います。サービス業の経費構成は人件費の固まりが多いと思われるので、人件費は仕入税額控除ができない関係で消費税の本則課税では不利です。仮にインボイス課税事業者になり簡易課税を選択した場合でも第5種サービス業(みなし仕入率60%)が適用されます。
 
 日経の記事を読むと、予想ですが、一定金額以下(例えば5百万以下)の小規模零細の場合は、実際の業種区分に拘わらず(みなし仕入率80%)を適用する措置を創設する案が検討されているように読めます。
 新聞記事の表題(売上税額の2割)は次のような計算です。
 売上500万×消費税10%=50万(売上税額)
 50万ー(50万×80%みなし仕入率)=10万(簡易による納税額)
 10万÷50万=20%(新聞記事の売上税額の2割負担)

 本来の第5種サービスだと、次のような計算になります。
 500万×消費税10%=50万(売上税額)
 50万ー(50万×60%みなし仕入率)=20万(簡易による納税額)

 負担の軽減(本来の5種なら20万負担が特例措置で10万に軽減)で、少しでも適格請求書発行事業者登録申請の方向へ導く措置を令和5年度税制改正に盛り込もうとしているのでしょう。

この他にもインボイスの仕入税額控除について、令和5年度税制改正で特例措置が設けられるような報道記事があります。

 

 

 

 

読売新聞2022.11.18

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