外国株式の譲渡(益)所得への円安の影響

1.外貨評価による譲渡所得の構造
 2022年は為替が円安に振れていますが、この円安の状況で外国株式を譲渡して売却益が出たときは譲渡(益)所得には、外貨ベースの値上がり益に為替差益が影響する形で譲渡益評価が算出されます。

 外国株を売却したときの譲渡(益)所得の計算は、次の計算式です。
 収入(譲渡時の価格を譲渡時の為替で評価)ー必要経費(取得価格を取得時の為替で評価)=所得

 これを分解すると次のようになります。
(値上がり益ドルベース✕売却時為替レート)+(取得時と売却時の為替の円安差額✕株式の取得時価格ドルベース)
 これだけ為替が動くと円ベースでの譲渡益評価(申告の譲渡所得)が高くなるため税金(分離課税20%)への影響が随分と大きなものになります。
 
 為替の影響は次のような図説になります。

2.決済方法の選択
円決済でもドル決済でも、譲渡(益)所得は決済時の為替で評価計算して納税するので決済方法による税額は同じですが、その後の手持ち資金に影響が出ます。
 決済を円決済の選択をすると納税後の手持ち資金は譲渡決済時の為替で円換算されるので、その後の為替の影響を受けることはありません。
 ドル決済を選択すると税引き後のドル手元売却資金は、その後の為替変動を受けます。決済後の為替が円高に向かうと手持ちドルを円換算すると手取りの円が下がることになります。
 売却後の為替動向を見込んだ上で、決済を円決済とするドル決済とするかの選択が必要になりそうです。 

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