PeppolCTCの5コーナーモデルの通信系統

1.5コーナーモデルの通信系統の図説

 2022年6月14日のCTCの5コーナーモデル資料に検討中の通信系統図が掲載されていました。内容は次のようなものだろうと思います。

 Peppolの将来システムである5コーナーモデルの検討が進められていますが、これは現行の4コーナーに課税当局を第5コーナーに配置する案です。
 将来システムでは、Peppol請求書の中に含まれているVAT(付加価値税)データを抽出しsubset情報を作成し、C2が第5コーナー(課税当局)に送信するようにします。
 C2はPeppolでサポートされた請求書文書及びsubset情報の2種類を取り扱うことになります。
 
 将来構想は、現行4コーナーシステムからは独立したシステムでsubset情報がC5に送信されますが、その送信完了結果は4コーナーシステムを使ってend-userであるC1とC4にも送信されるのでシステム連携とも言えます。
 第5コーナーは、課税当局が関わるため各国の法整備の下で行われる新システムになるのでしょう。
 Peppol発祥の欧州では、もともとが国境をまたぐ単一市場取引を前提としているので輸出入にも適用することが検討されています。
 
(1)税務情報(VAT情報)の抽出作成
 C2がPeppol請求書情報から税務情報(個別取引に係るVAT情報)を抽出しsubseto情報を作成します。
 subseto情報は、Peppol請求書情報から独立した税務報告用の情報です。
 
(2)他人の税務情報(VAT情報)を扱うプロバイダー機能
 C1とC2の関係は委託者と受託者の関係にあります。C2は他人の税務情報subsetを作成した上で課税当局C5に送信します。
 C1とC2の委託関係で税務情報(VAT情報)を送信できるのかという法的問題があります。
 税務情報を扱うのでC2やC3のプロバイダー条件が厳しくなりプロトコルやセキュリテイ機能も強化されることでしょう。

(3)subset情報の裏付け
 C2が送信する税務情報は売主側(C1)の情報です。C1の取引相手である買主側(C4)の情報はC3から提供されます。
 C2から提供されたsubset情報は、C3から提供される買主側のPeppol請求書着信情報と照合突合され情報の信頼性が確保されます。
 情報の照合突合はPeppol顧客IDやPeppol請求書IDで照合されます。
 
(4)税務情報(個別取引に係るVAT情報)の報告済の確認
 C2がsubset情報を送信すると報告完了手続きがとられます。課税当局C5からsubset税務情報着信済みの確認報告をend-userが受信するので、個別取引データが膨大な数になります。
 
(5)セキュリテイ
 税務情報(VAT情報)を課税当局に送信することが前提であるから全行程におけるデータのセキュリテイ暗号化が問題になります。

2.5コーナーダイヤグラムの中で表示されている略語
BD(Business Document)
 Peppol請求書など4コーナーで送受信される文書
 
DC(“Document Clearance” Message)
 C2がPeppol請求書から法的要件に沿った課税事項を抽出しsubset情報を作成し課税当局(C5)への報告する文書

DR(“Document Report” Message)
 C3が作成するPeppol請求書の受信履歴の課税当局(C5)への報告文書

DCR(“Document Clearance Response” Message)
 C2が課税当局(C5)から受信したDC報告済み確認証

DRR(“Document Report Response” Message)
 C3が課税当局(C5)から受信したDR報告済み確認証

3.データ送信は3系統で行われます。
【第1系統(黒の実線)】売主・買主間でサポートされているPeppol請求書(BD)の送受信系統
 この通信系統は既存の4コーナーモデルでの送受信です。

【第2系統(緑の実線)】売主のPeppol請求書から抽出作成されたsubset税務データ(DC)の送信系統。
 この通信系統(C2→C5→C6)は既存のPeppol4コーナーから独立した新たなネットワークであり、各国の法規制の元に管理運営される新たな国別のネットワークとなります。
 
【第3系統(赤の実線)】買主の請求書受信履歴報告(DR)の送信系統

第1系統
 Peppolでサポートされている請求書のC1(売主)からC4(買主)への送信系統

1.a:C1→C2 
 C1(売主)がBDをC2(売主のアクセスポイント)に送信する。

1.b:C2→C3 
 C2(売主のアクセスポイント)がBDをC3(買主のアクセスポイント)に送信する。
 
1.c:C3→C4
 C3(買主のアクセスポイント)がBDをC4(買主)に送信する。

第2系統
 Peppol税務subset情報をC2(売主のアクセスポイント)からC5(課税当局)への送信系統

2.a: 
 C2(売主のアクセスポイント)が課税当局報告用のDCをBDから抽出・作成する。
 
2.b:C2→C5
 C2がDCをC5(課税当局のアクセスポイント)に送信する。4コーナーから離れる。

2.c:C5→C6
 C5(課税当局のアクセスポイント)がDCをC6(課税当局)に送信する。 

2.d:
 C6(課税当局)が受信したDCのデータの検証を行い法令適合確認を行いDCRを作成する。

2.e:C6→C5
 C6(課税当局)がDCRをC5(課税当局のアクセスポイント)に送信する。

2.f:C5→C2
 C5(課税当局のアクセスポイント)がDCRをC2(売主のアクセスポイント)に送信する。

2.g:
 C2(売主のアクセスポイント)はDCRを受信し、C5(課税当局のアクセスポイント)から報告済み確認証を得る。

2.h:C2→C1
 C2(売主のアクセスポイント)はDCRをC1(売主)に送信する。ここから連携で4コーナーに戻る。

第3系統
 C3(買主のアクセスポイント)は、C2(売主のアクセスポイント)から受信したPeppol請求書データの受信履歴を課税当局への送信系統

3.a: 
 C3(買主のアクセスポイント)はC2から受信したBDから課税当局報告用のDRを作成する。
 
3.b:C3→C5
 C3がDRをC5(課税当局のアクセスポイント)に送信する。4コーナーから離れる。

3.c:C5→C6
 C5(課税当局のアクセスポイント)がDRをC6(課税当局)に送信する。 

3.d:
 C6(課税当局)は受信したDRのデータ検証を行い法令適合確認を行う。
 その上で、DRRを作成する。
 
3.e:C6→C5
 C6(課税当局)がDRRをC5(課税当局のアクセスポイント)に送信する。

3.f:C5→C3
 C5(課税当局のアクセスポイント)がDRRをC3(買主のアクセスポイント)に送信する。

3.g:
 C3(買主のアクセスポイント)はDRRを受信し、C5(課税当局のアクセスポイント)から認証を得る。

3.h:C3→C4
 C3(買主のアクセスポイント)はDRRをC4(買主)に送信する。ここから連携で4コーナーに戻る。

 

Follow me!