インボイス制度のお問合せの多いご質問(出来高検収書)

 国税庁は2023年10月1日の改正消費税法の施行に向けて通達、Q&Aを公表しています。公表済みの通達やQ&Aを補うために「お問い合わせの多いご質問」でときどき回答の追加を行っています。

1.消費税のインボイスのご質問に「出来高検収書」が追加掲載されました

 建設業の「出来高検収書」問3が8月31日付で追加掲載されました。

「出来高検収書」を仕入明細書として利用するためには、下請業者(売り手)の確認を取り、検収書には法定6項目の記載が必要であると回答しています。

(1)下請業者の確認 
 建設工事の元請業者作成する「出来高検収書」については下請業者が確認すれば仕入税額控除ができる旨が、もともと消費税法基本通達11-6-6(元請業者が作成する出来高検収書の取扱い)で公表されていました。 
 今回掲載の回答でも、「出来高検収書」について下請業者の確認を受ける必要があることは消費税法基本通達11-6-6の取り扱いと変わらないことを確認しています。
 
(2)仕入明細書の法定6項目の記載 
 仕入明細書には法定6項目(インボイスの法定6項目と同じ)の記載が必要です。
「出来高検収書」を仕入明細書として利用するためには、同検収書にも法定要件6項目(改正政令49条第④項)の記載が必要であることを回答しています。
 仕入明細書の法定6項目の記載については「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問71を参照するように説明しています。

 消費税法基本通達11-6-6は、検収書に対する下請業者の確認規定であるため、これを仕入明細書として使うためには同検収書に法定6項目の記載があることが必要である旨、今回の回答で説明しています。

2.「出来高検収書」の確認を受けること
 適格請求書(インボイス)は、買い主側からの求めに応じて売り主側に作成を義務付けものです。(改正消費税法57条ノ4第①項)
 一方、仕入明細書は買い主側が作成するので、仕入税額控除のためには売り主側の確認を受けたものに限られています。(改正消費税法30条第⑨項3号)
 
 建設業の「出来高検収書」の場合は、元請業者が下請け業者に適格請求書の交付を求めずに「出来高検収書」を下請業者に交付します。受け取った下請業者は「出来高検収書」に記載されたとおりの役務提供・完成引渡しに間違いがないことを確認します。
 これにより元請業者は仕入税額控除ができるというのが消費税法基本通達11-6-6の規定です。

 今回の「ご質問」に追加された【問3】は、消費税法基本通達11-6-6をベースに課税仕入れ側の観点から説明がなされており、改正消費税法施行後において「検収書」で仕入税額控除の要件を充足するためにはどのようにすれば良いのかの説明です。

 これを表裏一体の下請業者(売上側)から説明すると次のようになります。
元請業者の主導で作成した「検収書」が役務提供を行った下請業者により確認されると、検収どおりの役務提供が完了し、引渡し(民法632条)がなされたので、下請業者(売り手)には請負報酬の請求権(民法633条)が発生します。
 一般的には、下請業者の各工事に係る収益は法人税基本通達2-1-5(請負による収益の帰属の時期)が定めるいわゆる工事完成基準によって計上し、消費税法の課税資産の譲渡を行われたことなります。

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