確定申告手続・端数処理関係 法45条

確定申告手続 (法45条 令64条)
(1)福岡地裁(平19.2.26判決)平18年(行ウ)34号
消費税法施行令64条の「当該不足額が過大であると認められる事由がある場合」とは、還付税額が過大であることが明らかな場合のみならず、還付税額が過大であることを相当程度疑わせる事情がある場合を含むと解するのが相当である。
 納税者は、平成17年度の消費税等の確定申告書において、免税売上額を4期併せて171億円と申告した。他方、納税者は、平成17年度における法人税の確定申告書において、売上額を150億円と申告しており、上記消費税額等の確定申告書における売上額と整合しない。上記売上額の不一致自体が、本件控除不足額が過大であることを疑わせる事情に当たるというべきである。
 納税者は、設立以来、消費税等の確定申告書において、多額の免税売上額を申告しており、本来であれば、税務署長に上記免税売上額に対応するだけの購入記録票が送付されて然るべきところ、納税者の設立以来、税務署長に対し、納税者に係る購入記録票は一切送付されていない。これは、上記免税売上額に対応する購入者誓約書を納税者本店において保存していたとの納税者代表者の供述記載を前提としても不合理といわざるを得ない。
 
端数処理関係(法45条、規則22条)
(1)(平7.6.19裁決)国税裁決事例集No.49 平成7年分・第1
 消費税に相当する金額の1円未満の端数処理の計算方法については、個々の商品ごとの代金と、当該個々の商品に課されるべき消費税に相当する額とのそれぞれの合計額と解すべきである旨の請求人の主張は認められない。

(2)東京地裁(平11.1.28判決) 平成7年(行ウ)253号、平成10年(行ウ)37号(併合)
 課税資産の譲渡等の取引が複数商品を対象としていても、社会通念上一回と評価される取引行為の対価の支払は一つの決済として扱われ、個々の商品ごとに「決済」が行われることは通常予定されていないから、規則22条1項の「決済上受領すべき金額」との表現を単品ごとに決済が行われることを前提とするものと解することは相当でない。
  原告控訴
 税理Vol.42 No.5 1999年5月号
 税務事例Vol.31 No.9 1999年9月

 東京高裁(平12.3.30判決)平11年(行コ)50号
 譲渡の対価の額の合計額を課税標準とし、これに消費税の税率を乗じて税額を算定する「総額計算方式」を採用していることは明らかであり、~(略)~ 納税者が採用した「単品ごと積上計算方式」による計算を可としていると解することはできない、規則22条1項の「決済ごとの積上計算方式」による課税処分の適法性を認めた。
 2001年9月税理・付録 租税判例の回顧(平成12年上半期)

(3)(平12.3.29裁決)国税裁決事例集No.59
 複数の商品を顧客に対して一括して引渡し、その代金を顧客から一括して受領する場合の、消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」とは、その受領するときに顧客に交付する領収書(レシート)ごとの金額であると解するのが相当である。

(4)東京地裁(平18.12.8判決)平17年(行ウ)603号
  納税者は、本件確定申告に係る確定申告書の「規則22条①項の適用」欄の記載につき、「有」欄に○印を記載しており、同確定申告書の計算結果上も、本件確定申告時に少なくとも一部の店舗については積上計算方式を利用する意思が明確にされていたことが認められること等の各事情を総合すれば、納税者は、本件確定申告において、本件課税期間の消費税額の算出方法につき、全店舗とも積上計算方式を選択していたと認められる。
本件確定申告は、納税者の経営する全店舗の消費税額につき、消費税法施行規則22条①項所定の積上計算方式を選択して申告し、本来であれば「端数を処理した後の消費税額等を基礎として」計算すべき(消費税法施行規則22条①項)であったにもかかわらず、コンピュータが介在することによって、たまたま誤って当該店舗の本体価格と当該取引で受領した消費税等相当額の合計額から総額計算方式で算定された消費税額を計算するのと同様の計算をしてしまったのものであるから、納税申告書に記載した課税標準等又は税額等の「計算に誤りがあったこと」(国税通則法23条①項1号)に該当するとして、納税者の請求を容認した。 

PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。