人格のない社団等に対する消費税法の適用

(1)福井地裁(平成19.9.12判決)平17年(行ウ)5号
 現有財団は現実に破産管財人の管理下に置かれているのであるからその範囲は明確であり、破産者の管理処分権が及ばない破産者から独立した財産の集合体であるといえ、また、破産財団は、破産者自身の利害得失を超えた複合的な目的を持って活動する社会的実体を備えたものといえる。したがって、破産財団は、権利能力なき社団に当たるといえるので、消費税法上も「人格のない財団」に当たるというべきである。
 本件破産財団は、破産者とは別の新規の「事業者」であり、本件課税期間に係る基準期間がないのであるから、本件課税期間中の譲渡等につき消費税の納税義務を負うことはない。

(2)福岡地裁 平成24年1月26日判決(平21(行ウ)59号)確定
 能楽師である原告が、能楽師らにより構成された団体であるA会が催した能楽の公演に係る収支をA会に帰属すると主張し原告の事業に含めなかった。
 人格のない社団等とは「法人でがあるもの」をいい,その成立が認められるためには,権利能力なき社団と同様に,①団体としての組織を備え,②多数決の原則が行 われ,③構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,④その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確立しているものでなければならない。A会は,団体としての組織を備えていたものとは?ちに認め難く,代表の方法, 総会の運営, 財産の管理その他団体としての主要な点が確立していると認めることはできない。以上によれば,その余の要件について検討するまでもなく,人格のない社団等に該当するとは認められない。
 原告は,当該A会の経費について,消費税法30条7項に規定する帳簿及び請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかったということができ,これをできなかったことについてやむを得ない事由があることをうかがわせる事情は見当たらない.以上によれば,A会の経費について同条1項の仕人税額控除は認められない。
  租税判例の回顧平成24年上半期 月刊税理平成25年7月号附録

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