PEPPOL標準仕様(BIS-Billing)

1.PEPPOLにおける共通標準書式BISの必要性
 Open-PEPPOLの通信は、4コーナーモデルで行われている。
 商取引は、売り主(C1)と買い主(C4)の当事者間直接取引である。
 
 請求書をOpen-PEPPOLで送信する場合は、(C1)が作成した請求書をアクセスポイント(C2:売り主側指定のアクセスポイント)から(C3:買い主側指定のアクセスポイント)を経由して(C1→C2→C3→C4)の順序で買い主(C4)に送信される。
 
 Open-PEPPOLを利用する場合は、請求書の電子データ(XML)が売り主(C1)から買い主(C4)のエンドユーザに直接送受信されることはない。 

 エンドユーザ(C1)が独自フォーマットで作成した請求書データは、アクセスポイント(C2)においてOpen-PEPPOL標準書式BIS-Billingにデータ変換された上で送信される。
 アクセスポイント(C2)は(C4:最終エンドユーザである買い主)のPeppol idを使って(C4)が受け入れ可能なデータ書式をSML/SMPに保管されている参加者データベースに照合(retrieve)し事前検証することになっている。
 アクセスポイント(C3)はアクセスポイント(C2)から受信したPeppol標準書式データを最終エンドユーザーC4が受け入れ可能なデータ書式に変換して(C4)に渡すことになる。
 
  Open-PEPPOLで構築された通信システムはアクセスポイント間の通信(C2→C3)であって、ここで送受信される請求書データには、BISによるXMLデータエレメント(要素)で記述し、通信の暗号化やプロトコルもOASIS Business Document Exchange (BDXR) に準拠して行われる。
   
 このBIS標準化は、もともとの発祥が欧州であるため、欧州の商取引慣行を基準として反映したものとなっている。
 PEPPOLを利用する限りにおいてはBISは強制適用フォーマットであるが、これを欧州域外国に適用する場合は、それぞれの利用国の商習慣を反映させる調整が必要になりPeppol委員会との調整が必要となる。

2.PEPPOL BIS(Business Interoperability Specifications)
 PEPPOLで使われる電子インボイス標準請求書式(PEPPOL BIS)は、CEN(European Committee for Standardisation)のEN16931モデル、および、欧州の公共入札用のCEN BII(Business Interoperability Interfaces for public procurement in Europe)の規格との整合性が図られている。
 注:CEN(欧州標準化委員会)は、欧州の単一市場を目指し幅広い経済活動の各種標準規格の整備助言を行う非営利組織である。CENは1961年に設立された組織で、現在では34カ国からの専門家が加盟活動している。EU域外からの加盟参加もある。
 
 用途に応じたBIS書式が定められており、次のような構成となっている。
 フォームの改訂のたびにversion番号が付されている。
 ・ e-invoicing platforms (implementing BIS 4a)
 ・ e-billing platforms (implementing BIS 5a)
 ・ e-procurement platforms (implementing BIS 6a)
 ・ e-ordering platforms (implementing BIS 3a)
 ・ Post-award e-catalogue (implementing BIS 1a)
 ・ Pre-award e-catalogue (implementing BIS 12a)

  注:Post-awardとはPEPPOL委員会で裁定を受けた文書を意味する。
    post-award文書とpre-award文書の区分は次のとおり。

 それぞれのBIS書式には取引慣行を反映したデータ要素(key element)が規定されているが、欧州の多国間取引を前提にしているため国際取引的な要素が多分に盛り込まれている。
 配布されているBIS書式は階層データ構造になっており、XML文法書式(タクソノミー文書)も同時に規定されている。PEPPOLインボイスをビューワーで見ると次のようになる。
ビューワーのデータ項目には番号が付してあり、この番号とXML階層データの番号が照合できるようにした。

peppol インボイスをビューワーで見た表示

参考:このBISbillingのデータはXMLであり、そのエレメントはおおよそ別添のような階層構造となっている。

②のInvoice Periodとは、請求書の有効期間を指すのものである。

⑤PEPPOLインボイスは、PEPPOL・IDを使って最終エンドユーザ(Endpoint)あてにAP経由で送信される。

⑥付価値税の登録番号とは、日本の改正消費税法の適格請求書発行事業者登録番号に相当するものである。

⑳Invoice Line  には取引内容を記載するが、これは欧州の都度請求慣行を前提にした書式である。これを使って日本の取引慣行である月締め請求を行うためには、記述には工夫が必要となる。

 

 
 

3.EU域外国へのBIS対応

 EU域外国がPEPPOLに加盟する場合はPEPPOL-BISを新規加盟国仕様に対応させる必要があるため、EUの基本的基準EN16931に制限を加えると同時に当該国の状況に合わせた地域要件を加えている。

peppol bis pint
欧州基準は三角形の底辺で適用範囲が広く、EU域外国の適用にはEU基準に一部制限を加えると同時に地域(domain)基準を加味している。

 EU域外利用者が使う標準書式はSMPにユーザ情報として登録されているため、送信側のAPはSMPにend-point受信者情報を照合して受信可能なデータに変換した上で送信することになる。

 送信にあたっての手順は次のようになる

1.売主の固有請求書
2.XML変換
3.XMLセキュリテイチェック
4.CEN 欧州標準化適合情報
 欧州標準化委員会の基準適合チェック
 注:European Committee for Standardisation
5.CIUS 事業者別適合情報
 売買当事者間合意済みの記載事項については、売主側のAP(Access Poin)が買主側IDをもとにSMP(Service Metadata Publisher)に搭載された情報を照合(retrieve)し適合チェック
 注:Core Invoice Usage Specification
6.CIUS 国別適合情報
 買主側の国別標準仕様について上記5と同様手順で適合チェック

4.データ通信インフラ
 Open-PEPPOLの4コーナーモデルのデータ通信インフラ/セキュリテイは、OASIS Business Document Exchange (BDXR) に準拠した暗号化、プロトコルがBISに規定されている。
 注:OASISとは、Organization for the Advancement of Structured Information Standards、構造化情報標準促進協会)の略称である。

 

参考:デジタル庁のサイトで「電子インボイスの標準仕様策定・普及」の解説がなされています。

 デジタル庁のサイトの階層:ホーム>政策>電子インボイスの標準仕様策定・普及

PEPPOLサイトには日本標準仕様ver0.9が掲載されています。

内容については本ブログ投稿ご参照

 

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